昔々、あるところに、蟹が住んでいました。ある日、蟹は美味しそうな御握りが道に落ちているのを見つけました。
蟹:ワー、美味しそうな御握り!家に持って帰って食べよう。
丁度そのごろ、お腹を空かせた猿が柿(かき)の種(たね)を拾(ひろ)いました。
猿:柿の種か、エー、捨てちまおうか。
猿が柿の種を捨てようとしたその時、御握りを持ってる蟹とばったり出会いました。
蟹:こんにちは。猿さん。
猿:よ、お前、随分美味(うま)そうなものを持ってるじゃないか。
蟹:これかい?道に落ちたの拾ったんだ。
猿:ウン、それよかったんじゃねか。
蟹:猿さんは、何を持っているの?
猿:俺か?これなぁ。
蟹の御握りをほしくなった猿は、蟹にこんな事を言いました。
猿:こいつは世にも不思議な柿の種だ。
蟹:世にも不思議な柿の種?
猿:そうだ。俺が持っているこの柿の種を蒔(ま)けば、毎年(まいとし)美味しい柿の実が成るんだ。いいだろう。
蟹:それはすごいね。
猿:ほしいか?
蟹:ウン、ほしい。
猿:だったら、ほしいって言って見ろ。
蟹:え?ハイ。ほしいです!
猿:違うだろう!アー私は猿様の柿の種がほしいです!言わなきゃやらねぇぞ。
蟹:そこまではほしくないかも。
猿:エー。。。
蟹:言います。言います。私は猿様の柿の種がほしいです。これでいい?
猿:まぁ、ちょっと、違うなぁ。この蟹に猿様の柿の種をお授けください。ほら、もう一度言って見ろ。
蟹:え~イヤだよ。
猿:河に捨っちしまってもいいのか?
蟹:言います、言います。この蟹に猿様の柿の種をお授けください。これでいいでしょう?
猿:だ~めだ!全然気持ちがこもってねぇ。
蟹:そんな!
猿:言えないなら、いえるようにしてやろうか。
蟹:え?痛い!
猿:言えよ。
蟹:猿さん。
猿:チャンと言えたら、放してやる。
蟹:くまないで。。痛い!
猿:このコーラのこつこつが、堪んねぇ。(ピン。。)ア~~~~~
蟹:猿さん?
猿:すまん。俺は何でことを、痛かったか?
蟹:ウ、ウン。ちょっと。
猿:つい、つい、つい夢中になっちまって、悪かったな。
蟹:ううん、大丈夫。
猿:ほら、柿の種、持ってけい。
蟹:あ、ありがとう。猿さん。
猿:え。困った事があったら、いつでも俺を呼べよな。
蟹:う、うん。
猿:じゃな。
猿と別れた蟹は家に帰り、早速(早速)柿の種を蒔(ま)きました。
蟹:先は酷い目にあったなぁ。でも、柿の種をもらえたもんね。猿さんには感謝しなきゃ。世にも不思議な柿の種か。どんな木になるんだろう。
そうして、せっせと水をやりながら、こんな歌を歌いました。
蟹:早く芽を出せ、柿の種。早く芽を出せ、柿の種。出さねば、ハサミで穿(ほじ
く)るぞ。
すると、どうでしょう。先蒔いた柿の種から芽が出ってきて、グングン大きくなりました。
蟹:ワー。本当に不思議な柿の種だ。
蟹は嬉しくなって、次にこんな歌を歌いました。
蟹:早く実になれ、柿の木よ。早く実になれ、柿の木よ。ならねば、ハサミでちょん切(ぎ)るぞ。
すると、どうでしょう。今度は柿の木にたくさんの実が実りました。蟹:よ~し、これで、柿が食べられるよ。
蟹は柿の実を取りに行こうとしましたが、蟹が木登りはできません。蟹:こまったな。どうしよう。
蟹が困っていると、再び、猿がやってきて言いました。
猿:へい、もう柿が実もったのか。さすがだな。
蟹:猿さん。やっぱり、不思議な柿の種だったよ。
猿:だろう。俺のおかげだろう。
蟹:ウン、でも、柿の実が取れなくて、困ってるんだ。
猿:オー、俺は代わりに取ってやる。
蟹:本当?
猿:困って時は俺を呼べって言ったんだろう!
蟹:ありがとう、猿さん。
蟹が喜んだのもつかの間のとき。猿はするすると木に登ると、自分だけ、赤い柿の実を食べ始めました。
蟹:ずるいよ。猿さん!僕にも柿をちょうだい!
猿:黙れ!俺は今食事中だ!
蟹:酷いよ。一つぐらい分けておくれよ!
猿:一つぐらいか。へへ、これでももらえ!!へん!
酷いことに、猿は蟹にまだ青くて、硬い柿の実を次々とぶつけました。
蟹:痛い!痛い!ずるいよ。猿さん、ずるいよ!
猿:これだろう。お前はこれがいいんだろう。顔にそう書いてやるぜ!
蟹:痛い。痛いよ。
猿:言って見ろよ。ほら、その刺激がいいんですって。
蟹:猿さん、先の優しさは何だったの?
猿:この音、このコーラに当たった音がたまんね!へへ。。。(ピン~~)ア!
蟹:(泣いてる)
それから暫くして、蟹が怪我をした事を聞きつけた臼(うす)と、蜂(ハチ)と栗が蟹の家にお見舞いに来ました。
蟹:。。。。というわけなんだ。
蟹は涙ながらに、臼とハチと栗にそんな事を話ました。話を聞いた皆は、かんかんに怒りました。
臼:許せんな!栗!
栗:ア、許せんなぁ。臼!
蜂:蟹君を骗してはいけません
臼:よ~し、皆であの猿をこらしてやろう。
栗:あ、そうしよう。
蟹:でも、どうやって、
臼:いいやんか。耳を貸せ。。。。で、どうだ?
蜂・栗:さすが臼!
そうして、皆は早速(さっそく)猿の家に行き、こっそり隠れて、猿の帰りを待ちました。
猿:寒い、寒い。。
震えながらかえってきた猿が、囲炉裏(いろり)にあたえろうと途端。
栗:カー!
囲炉裏に隠れていた栗が、ばっちんと弾(はじ)けて、猿のお尻にぶつかりました。
猿:あちちち。。。あち(あつい)。。水、水だ、水。
お尻を冷やそうと、水の目のところにくると、
水のめに隠れたハチにちくちくと刺されました。
猿:何が起こったんだ?
たまらず外へ飛び出すと、屋根の上から、大きな臼が落ちてきました。
臼:お~れ
エー。。
猿がわが身に何が起こったのかさっぱり見当(けんとう)が付きません。
臼:ね、重いか?
猿:はい、重いです。
栗:熱いか。
猿:はい、熱かったです。
ハチ:痛かったか?
猿:はい、痛かったです。
蟹:僕はもっと痛かったよ!
猿の前に蟹が現れ、初めて、猿は事の顛末(てんまつ)を理解しました。
蟹:早く芽を出せ、柿の種。早く芽を出せ、柿の種。出さねば、ハサミで穿(ほじく)るぞ。
臼?ハチ?栗:早く芽を出せ、柿の種。早く芽を出せ、柿の種。出さねば、ハサミで穿(ほじく)るぞ。
猿:すまん。もう一人占めはしないから。許してくれ!
蟹:早く実になれ、柿の木よ。早く実になれ、柿の木よ。ならねば、ハサミでちょん切(ぎ)るぞ。
臼?ハチ?栗:早く実になれ、柿の木よ。早く実になれ、柿の木よ。ならねば、ハサミでちょん切(ぎ)るぞ。
猿:ア~~ア~~
それから、改心(かいしん)した猿はみんなと仲良くなりましたが、今でも、日本猿(にほんざる)の尻尾(しっぽ)は短いままだとさ!
お終い!
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